松上げとは
本記事では広河原の松上げを紹介していきますが、松上げと聞いて明確なイメージを浮かべる事が出来る人はほとんど居ないのでしょうか。
実際、私も京都の大学に通っていましたが在学中はその名前すらも耳にすることはありませんでした。また、この祭りを知った際に、京都に住んでいる友人などに尋ねても名前だけを知っているけど行った事が無いというのがほとんどでした。
京都市の秘境で行われるこの祭りは一体どのようなものなのでしょうか。昨年2023年のコロナ後に再開された際の広河原の松上げの写真を交えて紹介していきたいと思います!
起源
松上げの起源は400年前(江戸時代前期)にまで遡ります。京都市右京区の愛宕神社での愛宕信仰に関連する行事といわれています。
愛宕神社が位置する愛宕山は神社が創設される以前から修験道の修行者(山伏)が修行を行う場所として古くから使用されていました。松上げの起源はその山伏たちが行う験力を競う一種の競技(柱松)が民間に流布したものという説があります。
近世以降にそうした愛宕修験の影響を受けた宗教者が山間部の里に下りて柱松の神事を広めた事が起源とされています。そのため修験道の影響から、準備から本番まですべてが男性のみによって行なわれ、女性は一切関与できないことになっています。
広河原の松上げ
京都北部(洛北)から若狭にかけて山間部に位置する里では松上げと呼ばれる火を扱った祭りが年間行事として毎年8月24日に行われています。(一部の地域では近年になり人手が集まりやすいお盆の8月15日に変更されている地域もあります。)
松上げは盆の精霊の送り火として、無病息災や五穀豊穣、厄除を祈願して執り行われます。
灯籠木場(トロギバ)とよばれる広河原下之元町の河原に設置された高さ20メートルの大笠に向かってその松明を投げ上げ、火をつけます。
夕暮れ後に灯籠木場を取り囲むように設置された約1000本の松明に火が灯され始めます。
松明に火が灯されてしばらくすると村の男たちが順次縄に縛られた火を投げなじめます。
観客たちが火が灯りそうになるごとに一喜一憂をしているのが印象的でした。
クライマックスは約20メートルの高さにある大笠に火をつける事ができれば灯籠木(トロギ)が激しい炎に包まれ、地面に倒される場面です!大笠に火が灯されると会場から一斉に拍手が起こりました
2023年の松上げは21:50分ごろに点火しました
点火後にすぐに会場を去ってしまう人もいますが、大笠に火が付いた後に灯籠木が地面に倒され大量の藁と共に大きな火柱をあげて燃やされる光景はまさに圧巻です。是非最後まで見て欲しいです。
日程・時間
京都で行われる盆の送り火として8月16日に行われる五山の送り火が有名ですが、松上げはその約1週間後の8月24日に行われるのが定例となっています。
京都市公式観光ガイドによると今年の広河原の松上げも2024年8月24日(土)に行われる事が決定しています。
時間は20:30~となっており小雨決行です。
年によって火がつく早さが異なりますので、一概に何時に終わるとは断言できません。
私は灯籠木が燃やされるのを最後まで見ていましたが、車に戻ったのは22:30頃でした。
会場情報
2023年の会場には地元の方がやっておられる小さな屋台などがありましたが、それほど多数は出店してはいませんでした。夕食などはどこかで済ませてくるか、お弁当を持参すると良いと思います。
会場は暗いので懐中電灯等があると安心して見に行けるでしょう。
アクセス
以下では広河原までのアクセス方法をまとめてみました。
観光バスでのアクセス
毎年京都バスが、日帰りのツアーとして京阪電車の京都の終点でもある出町柳駅から広河原に向けての日帰り往復の観光バスを提供しています。
ホームページによりますと2024年の予約は受け付け中と書いていますので、運転に自身が無い方などはこちらを利用すると気軽に向かう事ができます!(2024年8月15日現在)
こちらがURLとなります。
https://www.kyotobus.jp/news/2024/08/matsuage2024.html
車でのアクセス
観光バスを利用しない限り、自家用車でのアクセスとなります。
グーグルマップで京阪電車の京都での終点でもある出町柳駅からのルートを調べると、3つのルートが出てきました。
以下では3つのルートをそれぞれ東側(マップ上で右)から解説しています。
ルート① (難易度★★★★★)避けたいルート
東側(マップ上で右側)に表示されている国道367号を使用してその後に広河原に向かう国道477号に向かうルートです。
国道367号は2車線道路で大型車も走れる道路ですが、その後の477号は大見・百井峠方面は幅員狭小で離合困難な区間が数多くあります。百井別れまでの道のりは酷道となっています。
グーグルマップに最適ルートとして表示されるルートですが、このルートは運転上級者以外は避ける事を強くオススメします。
ルート➁ (難易度★★★)山道運転に慣れている方ならOK
こちらのルートはグーグルマップで真ん中に表示される県道38号を通りその後国道477号に合流するルートです。
私は友人の家がルート途中の京都産業大学の近くにあるのでこのルートで向かいました。
ルートで表示される県道38号は鞍馬寺・鞍馬本町の前を通過するまでは、ほとんど2車線道路で比較的通行しやすいです。しかしその後にルート①と同じく国道477号に合流後は花脊峠で急こう配のヘアピンカーブが多発するため、こちらのルート➁も運転が得意でない方は要注意です(山道の運転経験が少ない方は避ける事をオススメします)。
特に松上げの開始時間に合わせての通行は、辺りが暗くなっているので注意が必要です。
ルート③ (難易度★★)オススメ
こちらのルートはマップの西側(マップ上で左)に表示されているルートです。出町柳駅から今出川通を通過し、国道162号に合流したのちに道の駅ウィッディー京北前で国道477号へと入り広河原に向かいます。
このルートも国道477号を使用しますが、国道162号を含め比較的大きな2車線道路が多いため運転があまり得意でない方はこちらのルートが最適だと言えるでしょう。他のルートと比べて20分ほど多く時間がかかりますが運転が得意でない方はこのルートが一番安全であり、時間をかける価値があると思います。
とはいっても、往復どちらとも山道の運転となるため注意は必要ですよ!
駐車場
私が2023年に訪れた際には地域の方や警察の方の誘導で問題なく駐車スペースを見つけることが出来ました。
河川敷の敷地を駐車場として無料で提供していただけました。
夜間の駐車となりますので、気を付けて運転してください!
最後に
今回の記事では京都市の秘境広河原で毎年8月に開催される松上げを紹介してみました。
古くからの歴史がある祭りで、会場に灯される火を見ていると火という力の有難みを感じるとともに、その燃え上がる火の熱気にはある一種の恐怖を感じる部分もありました。
昔の人々が火を崇め、様々な神事に使用してきたこと、そしてその文化が今日まで続いてきた事に美しさを感じます。
大笠に火が灯り全てが焼き尽くされた後は言葉では表せないような満足感を感じることが出来ました。
写真では伝えきれない真夏の京都の秘境の里で行われる祭りの熱気、高揚感を是非読者の皆様にも味わって頂きたいです。
自家用車で向かわれる方はくれぐれも安全運転でお願いします!
最後ま読んでいただきありがとうございました